モロッコパリ、旅行報告その4


 2日目 カモがねぎしょってマラケシュへ(パート3)


モロッコのガイドブックやネットのガイド情報
を見ると、「絨毯詐欺に注意」と書いて
あります。絨毯屋に連れて行かれ、高額な
商品を買わされてしまう。そのような文章を
見ながら、「ふんふん、気をつけなきゃな。
まあ、でもわたし、絨毯屋なんか行かないし」
と思っていたのですが、気がつけば今、自分は
立派な絨毯屋の2階にゆるく軟禁(?)され、
ミントティーを啜りながら20帖はあろうか
という巨大絨毯を次々に見せられているので
ありました。どうしてこうなった!?

絨毯屋の店主は、ガンジーとスティーブ・
ジョブズを足して割ったような「インテリ
やくざ」のたたずまい、映画化するなら
ジェレミーアイアンズで。といった方で、
もの静かなんですが鋭い目で部下(店員さん)
に次々と絨毯を広げさせるのでありました。
こりゃあかーん。下手したら何十万単位で
やられてしまうのではないか。隣では
Yちゃんが「やられた〜、まさか専属ガイド
つきツアーでこの手に遭うとは〜」と狼狽
している。
わたしはYちゃんよりかなり年上、お姉さんが
守ってあげなければ!と思うのですが、いかん
せん、わたしは普段の仕事でも金額交渉がひどく
苦手なのですね(あ、今なんか仕事上致命的な
事言った気がする...)。値切るより値切られる
のがお似合いの、ネギしょって七輪持参で
やってきたカモなのです。困った。
ちょっとガイドさん、なんとかして。というか
おっさん、どこへ行ったの?と思ったら
消えてるし。もー、あんにゃろ!

とにかくこんな大きいもの次から次へと見せ
られてる場合じゃないので「このように大きな
ものは買えません。持って帰れません」と
言うと、このジェレミーアイアンズ、にやりと
笑って奥から分厚いFedexのカタログを出して
来やがりまして 「大丈夫、いくらでも送れる」
とひとこと。では必殺の「いえ、お金がありません、
とにかくもっと小さいものを見せて」と(ここで
すでに小さいヤツは買うはめになるという墓穴を
掘ったのですが、致し方ない。)
すると、部下、じゃなかった店員さんがやっと
4畳半サイズのものを出してくる。「モアングラン、
プリュプティでお願いしますよ」と言い続ける事
しばらく、やっとキッチンマットサイズのものを
出してきた。いつまでもここで軟禁されて時間を
無駄にするのもナンだし、この辺で手を打つか。
と、まあまあ可愛い柄のものを選び、「じゃ、
これいくら」と聞くと、紙に書いてきたのは
1500ディラハム(1ディラハム=10円ぐらい)
15000円ですか!?このキッチンマット。日本で
買ったら確実に2980円ぐらいですが?「これシルク
だから。ものがすごくいいんだよ」。そこで
わたしの希望額をば恐る恐る。300ディラハム。
「ノン、ノン、冗談はよしこさん」とお互いの
数字を消す(こうやって行くのがモロッコ流
なのです)。

しばらく交渉し、結局600ディラハム
で落ち着く事に。まあ、何十万単位の出費は
まぬがれましたけど。 絨毯ぜんぜん欲しく
なかったんだけど。

さて、この恐ろしい買い物ツアー、まだまだ
続き、次は薬局へ。ここでは名物アルガンオイル
の香水やらクリームやらを試したりして、細々
買いましたが、店員さんはやさしいひとで、ここ
らへんで暑さとカルチャーショック、前の
お店での恐怖による「ショック・ドクトリン」
影響下、軽くお買い物トランス状態に。
「まあ、いいか、この際買ったれ」モードに
スイッチが入り、その後宝飾屋で18000円で
どうみても日本のそこらのエスニック屋
で半額以下で買えそうなアンモナイトの指輪など
買っちゃったりして、後は野となれ山となれ状態
なのでした。その間、ガイドのおっちゃんは
店の裏で、店員さんと楽しげに談話しており
きっと会話の内容は「どうだい、しょぼいカモ
だけど、まあこないよりましだろ」みたいな
感じではなかったかと推測されるのでした。

↓お店の表では女性の方が観光客向けに実演などを。


 一通り買い物紀行もすませ、一日の終わりは、
夕刻近くなのにまだ白々と明るい、旧市街の
中心地「ジャマ・エル・フナ広場」(死者達の広場)へ。
↓屋台でもの食うチャレンジャーな方々。わたしはお腹壊すのが
怖くて屋台には行かず。

かつて公開処刑なども行われていたという、この
広場。もーえらい騒ぎです。祭りです。
平日です。つか毎日こんな大騒ぎしてたら
マジで体力使い果たして死ぬと思う。という
ぐらいのにぎわい。ここでもガイドのおっさん
つかつかつかーとわたしたちを案内するのは
ぎゃー、来た。コブラ。え、持てっていうの?
ちょっと待って!?わー、持たされた。写真
撮られた!え、20ディラハムよこせって?

今度はお猿さん?いえいいです遠慮しますって
わー勝手に持たせるな。かわいそうにわたしもお猿
さんもしょんぼりだよ。ああまた20ディラハムね。

↓ごめんよお猿さん、お仕事つらいね、わたしも
つらい。共につらいの図。
というかぐったりしてえらいブスな顔になって
しまっている。ちっともステキな記念写真じゃない('A`)

その間も絶え間なく回りの人達には
「ニホンジンー?」「ビンボープライスOK!」
などと声をかけられまくり、もう何が何だか。

灼熱と混乱の一日が終わり、やっとリヤドに
たどり着き、ガイドさんともお別れ。ほっぺに
チュ、の別れの挨拶のあと、ほら、チップは?
と手を出すので、いくらか出そうとすると
こっちのお財布覗き込み、「これで」と指定
して来たのが200ディラハム札。最後まで
ガイド完全主導型、完敗だよ、おっさん。

かくして、やや釈然としない思いとともに、
マラケシュの熱い夜は更けてゆき、行く先々
でいただいた何杯もの甘ーいミントティー
のおかげで夕飯を食べる気にもならず、
バタンキュー。
遠くにまだまだ聞こえるフナ広場の喧噪の中、
眠りにおちたのでありました。




コメント

hirotani さんの投稿…
カモが猿しょってる写真、最高です(笑
Saori Otsuka さんの投稿…
ひゃー、おはずかしい。こちらのフォーマルな(?)近影もごらんください(^_^;)http://item.rakuten.co.jp/toscana/10015656/?scid=af_ich_link_tbl
hirotani さんのコメント…
フォーマルな写真も素敵ですが、子を抱く母のごとき猿鴨写真のほうにココロうばわれます。
hirotani さんの投稿…
フォーマル写真も素敵ですが、やはり子が母を抱くのごとき猿鴨写真にココロゆすぶられますね(W
Saori Otsuka さんの投稿…
ふはは(^_^;)さるがも...、ゴメンねお猿さん、って感じでしたよホント。